おしんの名言

今、おしんとよく遊んだ酒田での幼い時の事を思い出してる。私には一番幸せな時だった。

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第188回放送より

加賀屋が倒産し、夜逃げの末、売春窟へ身を落としてしまったお加代様。おしんと再会した翌日に息子、希望を残して急死してしまいました。

お加代様がおしんに遺した手紙です。

おしん 今日はありがとう。
おしんには一生会うこともねえって諦めてたのに本当にうれしかった。おしんには言わなかったけど 私はもう長くはねえ。私にもしもの事があったら希望はどうなるかと思うと死にきれなかったんだ。でもおしんに会えて おしんなら希望を預かって立派に育ててくれるって安心した。もう つらいの辛抱して生きる事もなくなった。私なんて生きてたってみんなに迷惑かけるだけだ。金の工面なんかする事はねえ。またおしんが来てくれるって言ってたの信じてこの手紙書いてる。同封の100円は浩太さんからのものだ。これで父さんとおっ母様の骨をどっかの寺へでも納めてほしい。私の後始末で迷惑かけるかもしれねえけんど 私の骨は海へでも川へでも捨ててくれ。加賀屋を潰し、親不孝の限りをした女にはそれが一番ふさわしいんだよ。ただ希望の事は…希望の事だけはよろしくお願いします。これでもういつ何があったって思い残す事はねえ。やっと楽になれる…。ただこの手紙が無事おしんの手に届くよう祈るだけだ。
おしん…。今 おしんとよく遊んだ酒田での幼い時の事を思い出してる。私には一番幸せな時だった。あのころにかえれたら…。さようなら…  おしん。

感想

加賀屋の没落とお加代様の死。

おしん全編の中で最大級のショッキングな出来事です。

Twitterを見ると「なんでお加代様があんな目にあわなければならないの?」「酷い!」「可哀想!」といった反応がほとんどです。

けれども、この結果は結局、お加代様の生き方が招いたものだと私は思います。(きっと異論ばかりでしょうが…。)

初見のときは私も素直にお加代様が可哀想だと思いました…。しかし、「何故あんな酷い目に遭わなければならなかったのか?」という視点で何度も見直すうちに、考えが変わってきました。


お加代様の人生からは、いろいろな教訓が得られます。


1つは「自分の気持ち最優先の生き方は危うい」ということ。

常にはっきりと自分を主張するところがお加代様の長所でもありますが、あまりにも自分の節を曲げない…。祝言の席、100%の不満顔でしたが、あの時、婿の立場に立てていたら…。小夜の死を知った時、両親や祖母の立場に立てていたら…。自分の節を曲げることになりますが、きっと違った人生になっていたと思います。「思い通りにならないのが人生」と大奥様も浩太も警告していました。自分を主張して生きるのは今も昔も難しい事です。


2つ目は「幸せは大切にしなければいけない」ということ。

お加代にとっての幸せとは一体何だったのでしょうか?自分の気持ちに忠実に生きる事が幸せだったのか…。加賀屋を失って初めて、今まで自分が幸せであった事に気付いたのではないかと思います。お加代様は何度も「加賀屋なんてどうでもいい…」趣旨の発言を繰り返してきました。その他にも「おしんは自由でええのう…」とか。とにかくネガティブ発言が多い。ネガティブな言葉を口にすると、幸せは逃げていくものだと私は思います。一方、おしんにとっての幸せは明確。ささやかでも平和に暮らす家庭を築くこと。震災で一旦失い、伊勢で再び築いた幸せを、絶対に失うまいと必死に努力しました。「幸せなんて、悲しさや悔しさやつらさを知った者じゃなきゃ分からないんだよねきっと。」という老おしんの言葉には説得力があります。


3つ目は「当事者意識が大切」ということ。

お加代様は、夫、政男をdisりまくります。まあ、夫もdisられるような事をしているので気持ちはわかりますが…。一方、おしんは、夫、竜三を基本disりません。(佐賀での一時期を除いては…)竜三の頓珍漢な言動に対しても、「あの人も辛いんです」とか「あの人にはあの人の考えがあって…」とか言って、常に竜三の立場に立とうとします。これは夫の問題を自分の問題として捉えているからではないでしょうか?竜三が良き夫にならなければ、自分の幸せも無いと考えているからだと思います。加賀屋崩壊の詳細については推測するしかありません。政男が加賀屋を潰したと悪者にするのは簡単ですが、結局、政男の問題はお加代様の身にも降りかかってきます。「加賀屋なんてどうでもいい」発言といい、周囲の問題を自分の問題として捉える当事者意識がお加代様には欠けている気がします。


芥川龍之介は「侏儒の言葉」の中で「運命は性格の中にある。」と言いました。結局、人生というものは、どんな結果であっても自分自身の生き方の積み重ねなのではないでしょうか?「バチが当たったんだよ…。」そう言うお加代様は、人生の最後にこのことに気付いたのだと思います。哀しいけれど。

蛇足ですが、「おしん」はトルストイの小説「アンナ・カレーニナ」に影響を受けているのではないかと思います。主人公アンナの生き方と結末は、お加代様にそっくり。アンナと対比的に描かれ、常に幸せについて思索し、地に足をつけて生きるリョーヴィンの生き方は、おしんにそっくりだと思います。 

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